その499 靴にかかる手間 2020.6.11

2020/06/11

 昨年の秋、山靴の底が割れてきたので新調しようと登山用具店に行った。
これまでと同じ靴を注文したが、消費税増税直前のことでいつ入るかわからないという。
代わりに少し軽いモデルを勧められた。いつ入るかわからない靴は待てない。
購入して山で使うと、サイズはぴったりで歩きやすい。
が、革の感じが良くない。
これまでの靴はクリームを塗ると革が光沢を帯び、使うほどに足になじんでくる。
だが今度のはまだ新しいのにくたびれた様相となっていく。
足にぴったりで軽いし、いいじゃないか、安くはない買い物だったのだから、
と自分を納得させていた。
しかし使う度にやっぱり気に入らない、と思う。
 
 半年たって、前と同じものを買い直そうか、と考えた。
メーカーのウェブを見ると、少し前にモデルチェンジをしていて靴幅が狭くなっている。
足に合わない靴を買うとアウトだ。
実店舗へ行くと、モデルチェンジ前の靴が並べてあった。
店の主人に聞くと、「前のモデルの売れ残りですから、安くしときますよ」だって。
ずいぶん迷ったが、「安くしときますよ」の一言が決め手となって購入。
 
 早速、外階段で試し歩き。
おや?左足の幅がきつい。店では大丈夫だったのに、
親指と小指を横から握られるように痛い。どうしよう。
靴の縦の長さが足りないのはどうしようもないが、横幅は何とかなるのではないか。
百円ショップでビーチサンダルを見つけた。
大き目のサンダルを買って前半分に切り、山靴にグイグイと差し込む。
二週間ほど横幅の拡張を行った。
 
 工石山で歩いてみる。まだ少し幅がきつい。もうちょっと何とかならないか。
インソールを捨てずにとっておいた以前のものに変えてみた。
幅のきつさはほぼ改善された。
 
 やれやれ、いい状態になった。と思っていたら、靴ひもの通りが悪い。
ひもを抜くときは金具の穴をスルスルと通るはずだが、一か所パリパリと抵抗がかかる。
金具の穴がきれいに研磨されていないようだ。
長い間に、ひものダメージは大きくなる。
金ヤスリの細いもので穴の凹凸を削らねばなるまい。
ああ、足が機嫌よく入るまでに手間がずいぶんかかる。